木工DIYで使う時の差し金(さしがね)はどんなものを選べばいいのだろう?
プロの方で差し金を使っている人は差し金選びを迷うことはないと思う。
迷ってしまうのは初めて差し金を使ってみようかな?って人だと思うので、DIYでどんな差し金を使えばいいのかわからないって人向けに選ぶ際のポイントをまとめたいと思う。
差し金を選ぶ時に「これってどういうこと?」って思うかもしれないことを一つずつ説明したい。
差し金の詳しい使い方については下記記事を読んで欲しい。
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目次
差し金の素材
まず、差し金を選ぶ際に素材は何で出来ているかを確認しよう。
一般的に差し金の素材は「ステンレス」が多い。
鉄製の差し金もあるが鉄は錆びやすい。
湿気や水に濡れた状態で放置すると錆てしまうし、保管方法が悪くても錆びてしまう。
価格は鉄製の方が安いが耐久性で劣る。
鉄製は錆びやすいことを、分かった上で鉄製を購入するのであれば問題はない。
なんだかんだ言っても鉄製は安価なのでDIY的には魅力の一つだと思う。
ステンレス製の差し金は
- ステン(表面加工なし)
- シルバー(クロムメッキの表面加工が施されている)
の2種類がある。
シンワ測定株式会社の差し金には製品名に明記されているから確認しよう。
要するに元は同じステンレスなんだけど、一手間加えられているのが「シルバー」ってことなんだと思う。
なので「シルバー」の方が耐久性に優れている。
差し金の大きさ(サイズ)
差し金のサイズ表記は「長枝(ちょうし)」と「短枝(たんし)」の外目盛の長さ。
端が少し余裕があるから、その余裕を足したものが全長となる。
差し金の標準サイズ
- 50cm×25cm
- 30cm×15cm
DIYで使う差し金は、この二つのサイズを持っていれば十分だと思う。
どうしても1つだけっていうなら50cm×25cmなら汎用性が高いと思う。
なくても大丈夫だけど、1m×60cmの大型の差し金があると、大きい板の直角を全体で見ることが出来る。
また、作った家具が1mぐらいの高さであれば平な場所からちゃんと垂直になっているかの確認も視覚的にわかりやすい。
作ったものが大きいのに、短い差し金で直角を見ても、その部分は直角や垂直に見えても、長くなればなるほど少しの誤差は大きくなる。
なので、垂直か直角なのかどうかは全体で見ないとわかららないことも多い。
ただ1m×60cmの大きさになると価格が1万円ほどする。
ちゃんと置く場所も決めておかないと踏んだり倒したりすると精度が狂ってしまうから注意。
大きい分曲りやすい。
メートル目盛か尺目盛か
差し金の目盛りが、メートル目盛と尺目盛とあるが、一般の人であれば「メートル目盛」一択だと思う。
メートル目盛は、最小が1mmで始まり、1cm、10cmって目盛りのこと。
尺目盛は、最小が1厘(いちりん)尺目盛スケールなんかは最小が5厘で始まり、1分(いちぶ)、1寸(いっすん)、1尺(いっしゃく)って目盛りのやつ。
建築関係のプロであれば尺目盛を必要とするかもしれないが、DIYでの利用を考えているならあえて「尺目盛」を使う理由はない。
慣れているメートル法を使った方がいいに決まってる。
目盛りの組み合わせ
差し金は、表と裏で目盛りの表示が違っているものがある。
組み合わせのパターンを見てみよう。
- 表裏同目
- 併用目盛
- 裏面角目
がある。
組み合わせは、差し金の表の外目盛と、差し金の裏の外目盛がどんなものかで決まるよ。
表と裏の目盛りが何なのかを確認しよう。
表裏同目とは、表も裏もメートル目盛、もしくは、表も裏も尺目盛、で統一されている。
併用目盛とは、表がメートル目盛で裏が尺目盛、もしくは、表が尺目盛で裏がメートル目盛になっている。
裏面角目とは、表がメートル目盛か尺目盛り、裏が角目盛りになっている。
「で、いったいどれがいいの?」って頭の中がゴチャゴチャになってる人もいるかもだけど安心して欲しい。
DIYで使うのは
DIYで使うなら表裏同目で表も裏もメートル目盛がオススメ。
丸太から一辺がいくつの角材になるとか、ダクトの円周が知りたいとか、ホゾの深さを知りたいって使い方をしたいのであれば、裏面角目で表がメートル目盛を選ぶのがいい。
目盛りの列数を選ぶ
差し金には、外目盛しかないものもあれば、外目盛と内目盛があるものもある。
「外も内も目盛りはあった方がいいんじゃない?」って思うかもしれないけど、それは使う人によるかもしれない。
目盛りが沢山あると見た目がゴチャゴチャうるさい感じがして、余計に見にくくなる場合も人によってはある。
色んな所に目盛りがあると便利なんだけど、どこを使って測ればいいのかの迷いにも繋がるから、あえて外目盛だけの方がスッキリしていて見やすいって人もいる。
そんな目盛りについては、どこを見て選べばいいのかを説明するね。
差し金を選ぶ際、製品情報の中に「〇段目盛」って明記されている。
〇段目盛ってのは目盛りの配置パターン
- 4段目盛
- 5段目盛
- 6段目盛
- 8段目盛
基本的には外目盛りはどのパターンでも目盛りがある。
問題は長枝(ちょうし)と短枝(たんし)の内目盛の配置パターンの違いだ。
この目盛りの配置パターンにはどれが正解とかはなく、使う当人にとっての使いやすさがすべてだと思う。
その中で、DIYで使う時のお勧めの配置パターンを個人的に説明したい。
4段目盛、目盛りがゴチャゴチャしているのは嫌、外目盛りだで見た目スッキリとした差し金を使いたいって人はこれ。
8段目盛、表も裏も、長枝と短枝の内目盛がすべてある差し金で、距離を測るのを前提として使いたい、差し金の内側でも測りたいって人はこれ。
DIY的には、この二つのどっちかでいいと個人的には思う。
スッキリ使いたいか?、外内の目盛りで両方で測りたいか?
それを考えて決めればいいと思う。
ただ、自分的な意見を言わせてもらうと8段目盛で外内両方とも目盛りがあった方が使い勝手がいいと思う。
竿の断面形状
差し金の竿の部分の断面形状で選ぼう。
この断面形状は実際使う時の操作性に大きく関わるから、しっかりと選んだ方がいいと思う。
A型の形状
はなんでこんな形状をしているかと言うと、真ん中が少し凹んでいることで差し金を指で押さえやすくしている。
外に向かった段々薄くなっているのは、墨差しで線を引く時に墨で汚れないように材から少し浮く形状になっている。
また、材の上に置いた差し金を取ろうとした時、端が浮いている形状なので動かしやすく取りやすい。
C型の形状
C型は見ての通り、表も裏もフラットになっている。
A型と比べ一定の厚みなので耐久性がある。
家具の製作なんかでA型である必要性は自分はあまり感じない。
DIYで使うならC型の差し金がいいと思う。
角厚と同厚について
写真は「角厚」。
差し金には、竿部と角部が「同厚」、つまり同じ厚みと、竿部は薄く角部が厚い「角厚」がある。
この同厚と角厚は、先ほどのA型とC型との組み合わせのパターンで出来ている。
- 角厚でA型
- 同厚でA型
- 同厚でC型
の組み合わせで出来ているのがほとんどだ。
利用目的などで必要なものを選べばいいのだけど、個人的にDIYで利用するなら「同厚でC型」がお勧め。
A型は墨付けする部分が少し浮く形状なので、墨付け精度で考えると平面(フラット)なC型の方がいいと考えているからだ。
実際に購入しようと製品情報を見ても、同厚とかC型とかの表記はなかったりする。
シンワ測定の差し金だと
「同厚」で「C型」の場合、製品名の中に「平ピタ、広ピタ、厚手広巾」と表記されている。
選ぶ際には参考にして欲しい。
竿の幅と厚みについて
差し金の標準の竿の幅は15mmで、それを20mmにしたものが広巾。
竿の厚さの標準が1mmで、2mmにしたものを厚手。
20mm幅で2mmの厚さのものを「厚手広巾」って表記される。
巾が広く、厚みが厚ければ、安定性と耐久性が上がる。
それと引き換えに、安定性と耐久性が上がると重くなるってことも覚えておこう。
標準の差し金が91gだとしたら、厚手広巾は240g、となり重くなる。
大工さんとかなら重さはネックになるけど、DIYでの墨付けと直角精度を考えると安定性のある厚手広巾がいいかもしれない。
できれば、標準の差し金と、厚手広巾の差し金があると利便性は上がるかもしれない。
お勧めの差し金
30cm×15cmのサイズなので取り回しがいい。
厚手広巾なので安定感と耐久性もあるので、墨付けも安定すると思う。
これ以上サイズの小さいの使うのであれば「完全スコヤ」の方が木工的にはいいと思う。
サイズとしては標準の50cm×25cmの差し金。
少し重いかもしれないが、墨付けの安定感はいいと思う。
表裏同目でメートル目盛りなので表裏関係なく使える。
8段目盛で、外目盛だけじゃなく内目盛が長手(ながて)と妻手(つまで)のすべてにあるので、どこでも測ることが可能。
表がメートル目盛で裏が角目になっている差し金。
竿の断面はA型で角は角厚。
操作性に優れている差し金。
目盛りの配置パターンは4段目盛りなので内目盛りはなく見た目がスッキリしている。
竿幅も標準の15cmで取り回しもよく、軽い。
角目・丸目を使用しないのであればこの差し金を使う理由はあまりない。
取り扱いには気をつけて
差し金だけじゃなく計測道具は精度が落ちると信用できず使うことが出来なくなる。
踏んだり、落としたりしないように心がけたい。
使ったら安全な場所に置く場所を作った方がいいと思う。
「厚手広巾」とかを曲げて使うと戻らなくなってしまう可能性があるからやめておこう。
差し金を購入する時の参考になれば幸いです。